NHK Eテレにて、15年間、いろんな人の冷蔵庫の写真を撮った写真集が紹介された。
撮影者は潮田登久子氏。
シオタじゃなくて、ウシオダさん。
現在、80代だと紹介されたのだが、ちょっとザンバラヘアーにメガネをかけて、非常に若々しくてビックリ。とても80代には見えない。
15年にもわたり、冷蔵庫の正面と、扉を開いた状態をセットで撮影。
どうして冷蔵庫?
興味深いエピソードと共に、様ざまな冷蔵庫が紹介された。
「冷蔵庫」写真集のページ
写真は全てモノクロ。
冷蔵庫の形状も、ちょっと昭和感のあるレトロな感じも今見ると愛らしい。
写真は、冷蔵庫を中心にしているが、背景に映り込む数珠のようなすだれとか、棚に入ったお弁当箱やポット、炊飯器が覗いていたり、生活感が濃い。
冷蔵庫の扉をパシャリ。
そして、扉を開いた状態をパシャリ。
冷蔵庫の扉には、給食メニュー表やら、子供のPTAのお知らせや、シールがペタペタ貼られている物が多い。
確かに、子育て時代なのか、夫婦2人なのか、時代に応じて貼る物も変わっていて楽しい。
冷蔵庫の中身。
ある冷蔵庫は、パック牛乳が7本見えていたり、野菜やお肉がたんまり入っていたり、ビール満載のものや、薬が入っていたり、本当にさまざま。
中身を見て、「ここは大家族なのかな」、「整理整頓されていて、きちんとした人なのかな」、「このタッパの中身は何なんだろう」と想像したり、意外やとても楽しいのである。
しかも、この15年という月日がいい。
最新の冷蔵庫ではないので、引き出し型の野菜室じゃなくて、キャベツがどーんと入っている姿が丸見えなのがいい。取手がやたら大きかったり、手を入れる鍵型になっていたり、冷蔵庫の形状もいろいろあったんだなぁと懐かしくなる。
ただ、冷蔵庫が写っているだけなのに、しゃべり声が聞こえてきそうな気配を感じるのは何故だろう。
冷蔵庫って、家電の中で一番、人柄が出る場所なのだろうね。
大きな箱に何を入れるのか、はたまた、入れっぱなしにしてるのか。その人の生活が、ダイレクトに映しだされてしまう。
著者の潮田さんが語っていたエピソードで、撮影しようとカメラを構えていると、
「どいてちょうだい」と言っても、どいてくれないので仕方ないからそのまま撮った、という写真には、アイスを食べている兄妹もいる。
今では、子供が2人もいるおじちゃんになっているらしい。
また、顔を突っ込んでいる猫のお尻も映り込んでいる写真もあり、笑ってしまう。
あなたの冷蔵庫
紹介された冷蔵庫の1つに、使っていない大型冷蔵庫を今もなお、リビングに置いている写真があった。
子育てが済んで子供が巣立ち、お役御免になった大型冷蔵庫を捨てるのが愛おしく、そのまま飾ったままというのだ。夫婦2人になった今は、小さな冷蔵庫を購入し、それを使っているのだと。
大家族なのに何も入っていない冷蔵庫の主は、「買い置きはしない派なの。すぐ使う物しか買わないから、冷蔵庫には何も入れたくない」という人。
買い物に行き、何を選び、何をどういう風に入れるのか。
どんな付き合いをしていて、季節によって貰い物が入っていたり。
誕生日ケーキや、イベントが伺える様子があったり。
冷蔵庫に、人の歴史あり、人生あり。
あなたの冷蔵庫には、どんな物が入っているのか、いないのか。
その時、あなたの選ぶ物は何なのだろう。
潮田登久子 「冷蔵庫」
著者の潮田登久子氏の、現在の冷蔵庫の中身。
とにかく、楽しいぐらいにゴチャゴチャしていた。
まず扉には、水道広告のシールがベタベタと扉全体に貼られていて、潮田さん曰く、「一度貼ったら2度と剥がさない」という不思議なルールがあるそうな。
冷蔵庫の中には、VIDEOと書かれた大きな箱が陣取っていて、スタッフが「ビデオが入ってるんですか」と尋ねると、「あぁ、これは薬。薬品が入ってるの」と言っていた。
潮田家の冷蔵庫は2つあり、何か特定の基準を設けて2つあるわけでなく、似たような中身の物がもう1台あった。面白すぎる。
「不経済ですよね、アハハ」と笑う、潮田さんらしい冷蔵庫。
現在、中古でしか(しかも高額)販売がないのですね。びっくり!!
15年という月日を経て、人々の暮らしをそっと覗き見する不思議な感覚。
飽きることなく、また、ふと開いてみたくなりそうな、そんな写真集。
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